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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~栗色の会 」
in 名鉄百貨店

日時
2018年9月5日(水曜日) 午後2時5分~午後3時
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月の京菓子
代々伝わる木型で作る「押し物」

2018年度第6回目の女将塾「愛される所作」の今月の色は、栗色。栗といえば、秋の味覚を代表する果物だ。名鉄百貨店地下1階の笹屋さんの店頭には既に、栗しぐれ、すいーとぽてと、落柿舎といった秋の味覚を使ったお菓子が並んでいる。さて、田丸先生が取り上げた今月のお菓子は、笹屋さんに代々伝わる大きな木型で作った押し物6種類。笹屋さんが押し物の素材として使う寒梅粉は、梅が咲く冬の終わりの寒い時期に新米を粉に挽いたことからその名がついたといわれているそうだ。もち米を蒸して餅にした後、薄くのばして白く焼き、細かく挽いたもの(味甚粉)を篩い分けした寒梅粉と砂糖を混ぜ、木型に詰めて押し出す(打ち出す)ことから押し物と呼ばれているが、打ち物、落雁とも呼ばれる。押し物の素材と製法についてのレクチャーが済むと、6種類の押し物と木型の撮影タイム。

下司板と台(菓子の意匠が彫られている板)と呼ばれる二枚の板からなる二枚型木型をよく見ると、二枚の板を接合するための「ダボ」がついている。さて今日の日常生活において、江戸時代から伝わる木型を使った押し物を食べる機会は、茶席の干菓子くらいしかなく非常に少なくなっている。特に田丸先生が今回、京都から運んできてくださった大型木型を使った押し物を食べる機会はほとんどないと思う。結婚式の引出物、記念品などとしての大型の押し物への需要がほとんどない現状だが、社寺御用達の京菓子屋の笹屋さんは、御紋菓などの注文が今もあることから伝統的製法の承継ができているとのこと。今月のお菓子の押し物の話が終わると、押し物と冷抹茶で甘楽茶楽タイ〜ム。私がいただいたのは、(きな粉も使った)仏手柑を象った押し物。

今月のお菓子の押し物の話が終わると、笹屋さんのお菓子の中で価格が最も手ごろな「千客万来」(税抜100円/個)についてのエピソード。手ごろな価格なので、個人宅ではなく会社を訪ねる時の手土産として「千客万来」をよく購入しているが、パッケージに印刷された菓銘「千客万来」の揮毫についての話は今回初めて聞いた。

text:渡邉 和彦