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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~紫色の会」
in 名鉄百貨店

日時
2019年9月19日(水曜日) 午後2時5分~3時5分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
秋の蓬莱山

創業享保元年(1716年)の京菓匠 笹屋伊織の十代目女将・田丸みゆき先生が講師を務めるセミナーが名鉄百貨店で始まったのは、私の記録では2010年のこと。当時は現在の「笹屋伊織の女将塾」ではなく、京菓子ひとすじ300年「老舗女将のトークライブ」という名称だった(次の2枚の写真は2010年10月と11月に撮ったもの)。セミナーの名称はその後、「京菓子の心と和のマナー講座」、老舗京菓子女将による「和のワンランクアップセミナー」、老舗京菓子女将による「京菓子の美しい頂き方と和の美人度アップ講座」へと変わり、現在の「笹屋伊織の女将塾」になったのは2017年4月のこと。

さて、笹屋伊織の女将塾「愛される所作~紫色の会」で田丸みゆき先生が取り上げた今月のお菓子は、お祝いのお菓子「秋の蓬莱山」。蓬莱山は、笹屋伊織の女将塾において2016年度より毎年取り上げられているお菓子だが、これまで取り上げられたのは1月が1回、3月が2回で、秋のお菓子として取り上げられるのは今回が初めてのこと。田丸みゆき先生は今回も、宅配便を利用すると輸送途中の揺れで繊細な蓬莱山が型崩れすることを避けるため、蓬莱山計6個を大きな紙袋に入れて京都から名古屋までご自分で運んできたそうだ。さらに、秋の七草を意匠した「秋の蓬莱山」に合わせて、秋の七草と備前焼の花入もご自分で運んできたそうだ。さすが、元アスリート。

蓬莱山は、中国に伝わる不老不死の仙人が住む理想郷のこと。結婚披露宴の引き出物などとして使われるお祝いの菓子蓬莱山は、表面をそぼろあんで飾り付けた大きな薯蕷饅頭の中に色とりどりの小さな薯蕷饅頭が入っていることから「子持ち饅頭」と呼ばれることもある。最近は、結婚式の引き出物としての注文よりも子宝や子孫繁栄の祈りがこめられた蓬莱山(子持ち饅頭)を和装結婚式においてウェディングケーキ代わりに「ウェディング饅頭」として使うことがあるそうだ。薯蕷饅頭は、すり下ろしたつくね芋・上白糖・上用粉(粒子の細かい米粉)で作る薯蕷生地で餡を包んだ饅頭で、餡炊き、包餡、蒸し上げといった和菓子作りの基本の技が詰まっている饅頭だ。

蓬莱山についての説明が終わると「蓬莱山」の切り分けが始まった。田丸みゆき先生が断面を切り分けると、大きな薯蕷饅頭の中に小さな色とりどりの薯蕷饅頭が見えた。秋らしく栗あんの薯蕷饅頭もあった。切り分けられた「蓬莱山」と冷抹茶で甘楽茶楽タイムの後、京都観光おもてなし大使でもある田丸みゆき先生より秋の七草(萩・尾花・桔梗・撫子・女郎花・藤袴・葛)についての説明と「女将おすすめの観光スポット」の案内があった。

text:渡邉 和彦