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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~紺色の会」
in 名鉄百貨店

日時
2019年8月28日(水曜日) 午後2時5分~3時5分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
特別講座
職人による和菓子作り体験(きんとん2種)

創業享保元年(1716年)の京菓匠 笹屋伊織十代目女将で京都観光おもてなし大使でもある田丸みゆき先生が講師を務める女将塾の2019年度第5回は、特別講座「職人による和菓子作り体験」。作る和菓子は茶席菓子として人気が高い「きんとん」2種。特別講師は、女将塾ですっかりおなじみになった笹屋さんの中堅職人の伊藤さん(愛知県豊田市出身)と入社4年目の川合さん(岐阜県土岐市出身)の2人。田丸先生から、特別講師紹介の冒頭、伊藤さんが10月中旬を以って退職し独立するとの話があった。「さびしいこと、でもうれしいことなので、応援します。みなさんもどうぞ伊藤を応援してください」(拍手)

さて、田丸先生による2人の紹介が終わると、川合さんが、今回作る「きんとん」2種、一つはつくね芋をあわせたそぼろ餡の「萩きんとん」、もう一つは寒天を合わせたそぼろ餡の「菊きんとん」についての説明を始めた。素材の丹波産つくね芋、そぼろ餡を出す道具の通し(籐製と金属製)についての説明が終わると、そぼろ餡を箸を使って餡玉に付ける実演へと移った。最初に餡玉の底にそぼろ餡を付け、続いて横に外れ落ちないようにしっかり付け、最後に上にふわっと付ける(のせる)。川合さんの実演を見ていたら、川合さんが女将塾に初めて登壇した2017年2月15日に開催された2016年度第11回(当時は「京菓子の美しい頂き方と和の美人度アップ講座」と呼称していた)のことを思い出した。入社1年目で伊藤さんのアシスタントとして初登壇した時の川合さんはおどおど感満載だったが、それ以降、経験を重ねることで自信がついてきた川合さんは、伊藤さんの後任者として今後の活躍が期待できると思った。

川合さんの実演が終わると、参加者各自がそぼろ餡を餡玉に付けて「きんとん」を完成させる実技時間。「きんとん」2種が出来上がると、冷抹茶といっしょに甘楽茶楽時間。「萩きんとん」と「菊きんとん」の2種を実際に作ったことで、そぼろ餡の色使いだけで「萩」と「菊」を表現できる「きんとん」の変身力を再認識できた。さらに、黒文字で切り分けた「きんとん」2種を食べ比べたことで、そぼろ餡に使う素材(つくね芋と寒天)の違いによる触感、食感、風味などを楽しむことができた。今回の「和菓子作り体験」は、粒餡の餡玉に箸でそぼろ餡を付けて「きんとん」を作り上げることを学ぶだけでなく、「和菓子は五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)で楽しむ」ものであることを学ぶ場でもあった。

text:渡邉 和彦