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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~茶色の会 」
in 名鉄百貨店

日時
2017年11月9日(木曜日) 午後2時5分~午後3時00分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
亥の子餅とお火焚きまんじゅう
ワンポイント講座
京の伝統行事

2017年度第8回目の女将塾のテーマカラーは「茶色」。女将塾恒例となった冒頭の「田丸みゆきショー」で田丸先生は今回、後ろ姿を披露した。それにしても、定員20名に対して今回参加者は定員オーバーの25名ほど。相変わらず予約が難しい人気セミナーだ。

今月のお菓子は、冬を告げるお菓子「亥の子餅(いのこもち)」と「お火焚きまんじゅう(おひたき・まんじゅう)」。今回も2種類のお菓子を食べることが出来る女将塾、和菓子好き、餡好きにはたまらない。一つ目のお菓子は、亥の月(旧暦10月)・亥の日・亥の刻(今年は11月8日の午後10時前後)に、無病息災と子孫繁栄を願って食べる風習がある、「亥の子餅」。古くは「源氏物語」に登場し万病を払うとされたが、多産の猪にあやかり収穫の祝いとされ、子孫繁栄の願いが込められて庶民へと広がった行事菓子だそうだ。

2個目のお菓子「お火焚きまんじゅう」は、「亥の子餅」と同じころに、京都の普段使いのお菓子を扱う「おまんやさん(おまんじゅうやさん)」やお餅屋さんの店頭に並ぶ家内安全、無病息災、商売繁盛、火除けを祈るまんじゅう。小麦粉、砂糖をこねた生地の「お火焚きまんじゅう」は紅白の2種類があり、紅は粒餡、白は小豆こし餡が包餡され、蒸し上げた後に頂に火炎宝珠の焼印が押された京都独特の行事菓子。多くの京都の神社で催されるという一年の収穫に感謝する行事の火焚祭においては、「お火焚きまんじゅう」におこしと密柑がセットになっていることがあるそうだ。

「お火焚きまんじゅう」の説明が終わると、待ちに待った甘楽茶楽タイム~。こし餡の「亥の子餅」をいただいた後、お抹茶で口直し。続いて、女将塾用に特別調節された笹屋さんの「お火焚きまんじゅう」をいただいた。どこが特別調整かと言うと、一般的な「お火焚きまんじゅう」が小麦粉ベースの生地なのに対し、笹屋さんの生地は上用粉(薯蕷粉)、つくね芋と砂糖から作る薯蕷生地だから、言い換えると火焚宝珠の焼印がある薯蕷饅頭(粒餡)。

享保元年(1716年)創業の笹屋さん(京菓匠 笹屋伊織)は、江戸時代の上菓子屋仲間の流れをくむ菓匠会(19同人)の会員だ。菓匠会は、毎年12月1日に行われる北野天満宮献茶会において協賛席菓題菓子展を開いている。田丸先生より、今年の菓題は「雪景色」などの案内があった。次の写真は、北野天満宮で2016年12月1日に開かれた菓題菓子展(菓題:冬めく)に出展した笹屋さんの作品「冬の使者」。

text:渡邉 和彦