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笹屋伊織の女将塾「愛される所作~桃色の会 」
in 名鉄百貨店

日時
2018年3月8日(木曜日) 午後2時15分~午後3時10分
場所
名鉄百貨店本店本館9階バンケットルーム(名古屋市中村区名駅1-2-1)
今月のお菓子
蓬莱山
ワンポイント講座
春の京都おすすめスポット

「今年度は、毎月の色のテーマを決めました。お召し物や小物に各回のテーマの色を少し意識して楽しんで頂ければと存じます」という女将塾開催案内チラシに載っている田丸先生のメッセージの通り、毎月のテーマカラーが決まっていた2017年度最後の女将塾。恒例となった「田丸みゆきショー(今月の着物)」で始まった最終会のテーマカラーは、「桃色」。今月のお菓子として登壇したのは「蓬莱山」、2016年1月に続いて2回目。前回は、午前の部・午後の部・特別会・夜の部の計4回の女将塾に各1個だった。これでは参加者一人当たりの量が少なすぎたとして、今回は各回に2個ずつで合計8個。一つ1.5kgある「蓬莱山」、8個だと合計12kgにもなる「蓬莱山」を田丸先生は今回、2つの袋に分けて京都から運んできたそうだ。「蓬莱山」は繊細なお菓子なので、宅配便などを利用すると輸送途中で損傷する恐れがあるからだ。さすが元アスリート、パワフルウーマン!それでは、合計12kgもある「蓬莱山」を新幹線で運んできたときの様子を再現した田丸先生の写真をご覧ください。「こうして持ってきたのよ」

「蓬莱山」は中国の不老不死の仙人が住むと伝わる理想の島のこと。結婚披露宴の引き出物などとして使われる祝い菓子の「蓬莱山」は、きんとんで飾り付けた薯蕷饅頭の中に色とりどりの小さな薯蕷饅頭が入っているので「子持ち饅頭」と呼ばれることもある。今回用意された「蓬莱山」は、春・夏・秋・冬の4種類。季節によってきんとんの色使いを変えることで変身する4つの「蓬莱山」、見ごたえがあった。「蓬莱山」についてのレクチャーが終わると、田丸先生はマイナイフを使って「蓬莱山」を切り始めた。半分に切ったときの断面を見た受講者からいっせいに歓声があがった。受講者数分に切り分ける前に、「写真タ〜イム!」。

「写真タ〜イム」が終わると、切り分けられた「蓬莱山」をお抹茶といっしょにいただいた。甘楽茶楽タイ〜ム。お抹茶を点ててくれたのは、イオリカフェを卒業した田中さんに代わって今月から田丸先生をサポートする尾関さん。

さて、和菓子は「五感で楽しむ芸術」と言われている。五感とは、視覚、嗅覚、触覚、聴覚および味覚の5つの感覚のこと。今回の「蓬莱山」に当てはめてみると、最初に入るのは目で見た視覚情報。香りによる嗅覚情報、黒文字を使って切り分けるときの触覚情報と続く。最後が実際に食べて味わう味覚情報。わかりにくいのが聴覚情報だが、田丸先生からレクチャーを受けた「蓬莱山」の由来がこれに当たる。最近は、「インスタ映え」が新語・流行語大賞2017で大賞を受賞したことからもわかる通り、見た目、いや写真写りだけが重要視される傾向が強い。でも、和菓子は、目で見た視覚情報だけではなく、五感すべてで楽しみたい。和菓子は「五感で楽しむ芸術」だから。

text:渡邉 和彦